「真実教」に帰依した教育改革者
IRCで,ちょっと話題に出たgood2ndの日記 - 図書館に所蔵資料の訂正を求める戸井田とおる議員の話。
資料/史料の内容(真贋,信憑性等々)を評価し取捨選択する能力は,何かを学ぶ/論考を形成する上で必須の能力だと思うのだけど,エライ方はそうは思っていないようで。
第166回国会・内閣委員会で平成19年2月21日に行われた議事記録(第2号)における戸井田とおる議員(前年は教育基本法に関する特別委員会の委員)の発言
昨年の本委員会でもって、国会図書館というのは、国会議員が国政調査のための資料をそこに集めてあるわけでありますから、そこで調べていくと、間違った資料をもとに間違った考えを頭に植えつけて、結果的に間違った法律をつくるというようなことになると国民に迷惑がかかるし、ここらのことは非常にスピード感を持って解決していただきたいなと。前回は、日本国全部の税金を使った図書館ということを申し上げたんですけれども、私は国会議員として、国会議員が調査に当たる、その中心の場である国会図書館の資料に、明らかに間違いだ、一次資料で確認できる、そういうものについてはきちっと訂正をしていただきたい。前回は、富田メモのように、写真だけでも上に張りつけたらどうだというようなことを申し上げましたけれども、今はなかなか難しいようでありますから、それだったら、インターネットでホームページでもつくって、そういう間違いの訂正というか、そういうものをきちっと出せるようにしていただきたいな。
つまり,この議員は,「自分には史料の真贋を検討し評価する能力がないから,代わりに評価してかつ制限を加えてくれ」と言いたいのだな。
これに答えた国会図書館館長は
- 当館は,設置の根拠であります国立国会図書館法の規定に基づいて,収集した資料を最大限に国会,行政・司法,並びに国民の利用に供する任務を有している。
- この任務は,憲法第二十一条の保障する表現の自由にかかわるもの。
- これらの考えから、当館がみずからの判断に基づいて資料の利用を制限したり,誤りであると判断することは,国民の人権の侵害につながるようなことになる。
- 注意書を添付,貼付するだけであっても,当館がその資料に対して価値判断を行ったに等しいと受け取られる可能性がある。
と述べた上で,
当館は、資料が明らかに間違いであることを判断する権限を持っておりません。むしろ、資料の内容に価値判断を加えず、多様な意見を国民に提供することが当館の役割であると私は認識いたしております。御指摘のような資料については、研究者による議論等の言論活動を通じて適切な評価が与えられていくものと私は考えております。
と結んでいる。これは至極真っ当な判断だろうと私も思う。
おそらく,かの議員は,「世界には正解は一つしかない」という「真実教」の熱心な信者なのだろう。ファンダメンタリストと仲良く出来そうな人ではある。
ただ,こういう人が教育改革を叫ぶのは,なにか違うような気がする。いや,逆なのか。何も考えさせずに都合のいいことだけ覚えさせるのは確かに色々な意味で楽だろうしなあ。


Comments